久野 真純
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研究内容(動物生態学)

修士課程からのテーマとして、食肉目動物の食性に関する研究を行っています。フィールドワークのほか、文献レビューやメタアナリシスといったアプローチを取り入れ、とくにイタチ科テン類の採餌生態を体系的に明らかにすることを目指しています。そのほか、共同研究によりホンドギツネ、ホンドタヌキ、ハクビシンの論文執筆作業に関わりました。
​1. ブルガリアにおけるムナジロテン(イシテン)の食性
  • 人口増加および都市化が進むなか、都市環境に適応した食肉目動物と人間との干渉が問題となっています。そのため、「食肉目動物はどのように都市環境に適応し得るのか」ということへの理解を深めることが重要です。食肉目動物が都市適応を成功させる要因の1つとして、人為由来の食物も利用できるという特性があげられています。本研究では、ムナジロテン(Martes foina:イタチ科)の食物選択の観点から都市適応について考察するため、都市域および山岳地域における本種の夏期の食性を比較しました。2013年5月から7月にかけて、ブルガリア中央部に位置するスタラザゴラ市近郊(都市域)およびバルカン山脈(山岳地域)においてムナジロテンの糞を採集し、内容物の分析を行いました。その結果、果実が都市域において山岳地域よりも有意に多く、かつ高頻度に利用されていたことがわかりました。一方、ネズミ類・昆虫類の利用量は山岳地域のほうで有意に多く利用されていました。都市域でムナジロテンのよって利用された果実のほとんどが街路樹・庭木・果樹園由来であったことから、夏期の間人為由来の果実を専ら利用できることが本種の都市適応を促進させている要因の一つであると考えられました(Hisano et al. 2016/EtholEcolEvol)。​
  • そのほか、胃内容物分析データをもとにムナジロテンの冬期食性の雌雄差についての研究を行いました(Hisano et al. 2013/MammStud, 2014/ZooNotes)。

これらの研究は、東京農工大学とブルガリア・トラキア大学の姉妹校提携による「生物多様性ホットスポットプロジェクト」のもと行われました(調査報告:研究室ブログ1;研究室ブログ2)。
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ブルガリア中央部・スタラザゴラ市周辺(ムナジロテンの都市域生息環境:"Region 1" in Hisano et al. 2016)
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ブルガリア中央部・バルカン山脈のヨーロッパブナ林(ムナジロテンの山岳域生息環境:"Region 2" in Hisano et al. 2016; Hisano et al. 2014)
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ブルガリア・トラキア大学

2. 亜高山帯におけるホンドテンとホンドギツネの食性
食肉目動物の糞はその形状の類似性から他の同所的な種のものと混同されやすいという問題があります。本研究では、亜高山帯に生息するホンドテンとホンドギツネの糞の視覚的・嗅覚的な種判別方法の信頼性を検証するため、それによる種判定結果とDNA判別技術による結果とを比較しました。その結果、97%の糞が視覚的・嗅覚的により正確に種判定されていたことがわかりました。また、両種の食性の季節変化、および種間の食性の類似度を調べました(Hisano et al. 2017/ZoolSci)。
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本研究は、東京農工大学と北海道大学の共同研究によって行われました。
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平標山・仙ノ倉山(新潟県湯沢町・群馬県みなかみ町)におけるホンドテンの亜高山帯生息環境(Hisano et al. 2017)

3. 食性の地理的変化(メタアナリシス)
食性の生物地理学的変化を調べることは、捕食者とそれらの生息環境との間に存在する生態学的特性を結びつけるうえで重要です。本研究では、全国におけるホンドテンの食性情報を既存の文献から収集し、本種の食性の地理的変化・季節的変化を調べるため、メタ解析を行いました。亜高山帯林や冷温帯林のホンドテンのほうが暖温帯林よりもネズミ類をより高頻度で利用していることがわかりました(Hisano et al. 2019/MammBiol)。また、同様にベンガルヤマネコの食性についてもメタアナリシスを行いました(Hisano & Newman/EtholEcolEvol)。
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各調査地間におけるホンドテンの食性類似度(Hisano et al. 2018)

4. テン類の食性に関する文献レビュー
ホンドテンの果実食および昆虫食の特徴の情報を文献レビューにより統合しました(Hisano and Deguchi 2018/ZoolEcol; Hisano 2019/ZoolEcol)。そして、本種の食性に関する研究の問題点や不明な点を指摘し、これからの研究の方向性を導きました(Hisano in press/SmallCarnivoreCons)。

また、上記のブルガリアでの研究(トピック1:Hisano et al. 2016)に関連して、栽培果実(人為由来の食物)に焦点を当てながら、ブルガリアにおける
ムナジロテンの果実食の情報をまとめました(Hisano 2018/ZooNotes)。
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ホンドテンの果実食に関する報告が行われた各調査地(Hisano et al. 2018)
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